特定行政書士とは?行政書士との違いについて

特定行政書士制度は、行政手続の適正化と迅速化を図るために2014年に設けられました。これは、行政書士が行政手続に関する不服申立ての代理を行うことができるようにすることで、市民の権利利益をより広範に保護しようとする制度です。従って「特定」という言葉から行政書士業務が制限される想像をされるかもしれませんが、実際には行政書士業務を拡大して取り扱うことができる資格とお考えください。

行政書士法における特定行政書士の位置づけ

特定行政書士は、行政書士法第3条の2に基づき設けられた制度で、一般の行政書士と比較して特定行政書士は、行政不服審査法に基づく審査請求の代理人として活動することができる点が大きな特徴です。以下は行政書士法からの引用となります。

第1条の3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第3号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和24年法律第205号)第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。

 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

 前項第2号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

特定行政書士と一般行政書士の違い

資格取得の要件

  • 行政書士:国家試験である行政書士試験に合格するなどし資格を取得します。
  • 特定行政書士:一般行政書士の資格を取得後、特定行政書士研修を修了し、試験に合格することが求められます。

特定行政書士の位置づけと役割

特定行政書士は、市民の権利保護において重要な役割を担っています。行政書士法第3条の2に基づく資格を持つ特定行政書士は、行政不服審査法に基づく審査請求の代理業務を行うことができるため、行政手続に対する不服申立てに関して、市民の代理人として活動します。

総務省行政管理局令和元年度行政不服審査法施行状況調査(国) 000742389.pdf

特定行政書士の役割

  1. 行政不服審査法に基づく審査請求の代理:特定行政書士は、行政不服審査法に基づく審査請求の代理人として、市民の権利利益を保護します。この役割は、特定行政書士の最大の特徴であり、市民の行政手続に対する不満や異議を法的にサポートします。
  2. 高度な専門知識の提供:特定行政書士は、高度な研修と試験を通じて専門的な知識を習得しているため、複雑な行政手続に対しても適切な助言を行うことができます。
  3. 市民の権利保護の強化:特定行政書士の存在により、行政手続における市民の権利保護が強化され、迅速かつ適正な行政手続が促進されます。

まとめ

特定行政書士は、市民の権利保護と行政手続の適正化において重要な役割を担っています。特定行政書士制度の設立により、行政手続に対する不服申立ての代理業務が可能となり、より高度な専門知識を持つ行政書士として市民のサポートが期待されています。