新規で飲食店を開業したい方は多くいらっしゃると思います。事業の拡大で店舗を増やすケースもあれば、脱サラして新たにコーヒーショップを経営したい!など多くのケースがあるでしょう。そこで初めて飲食店を開業したい方向けに営業許可の流れを概略説明します(今回は接待行為や深夜での酒類提供などのない一般的な飲食店の開業を想定しています)。
飲食店営業許可とは
そもそも飲食店等の営業は食品衛生法をもとに規定され、同法は通常我々が安全に飲食をできることを前提として様々な要件が規定されています。この法律は令和3年に改正され、32の許可業種と届出業種が創設されました。
この中でいわゆる飲食店は要許可業種に該当し、飲食を提供するお店を開業する際に必要な許可証をしなければなりません。この許可を取得せずに営業すると「無許可営業」となり、法的な罰則が科される可能性があります。具体的には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられます。
許可の要件
飲食店営業許可を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 食品衛生責任者を置く: 食品衛生責任者の資格を持つ人を必ず配置する必要があります。食品衛生責任者の資格は都道府県の食品衛生協会が主催する講習を受けることなどで取得できます。
- 防火管理者をおく:営業店舗の収容人数が30人以上の場合に必要になってきます。
- 保健所へ許可証を申請する: 開業するお店の地域を管轄する保健所へ申請します。立会検査を受けて合格すれば、営業許可証を取得できます。
- 設備と運営の基準を満たす:厨房の広さや設備、換気設備、従業員の衛生管理など、一定の衛生基準を満たす必要があります。開業地域によっては細かな基準が異なるため、事前に保健所に相談してから進めることが大切です。
一般的によくある許認可でいう人的要件(ヒト)、物的要件(モノ)、財産的要件(カネ)でいうと、1及び2がヒトにあたり、4がモノにあたります。なお、申請者の財産的要件に関する規定はありませんが、欠格事由はありますのでご注意ください。飲食店営業許可においては、物的要件、つまり営業所(お店)が基準を満たしているかが重要です。取得までの流れにも記載していますが、内装工事が必要な場合は内容を固めてから相談・申請をするようにした方がよいでしょう。また、ケースによっては、いわゆる「居抜き物件」を使うケースもあると思いますが「居抜き物件」だからといって、すんなり許可がとれるわけではないので改めて確認をすることをお勧めします。
取得までの流れ
飲食店営業許可を取得する際の流れは以下の通りです。
- 物件の契約: 開業する物件を選び、契約します。用途地域や設備の要件を確認しましょう。
- 食品衛生責任者講習を受ける: 食品衛生責任者講習を受講します。地域ごとの日程を確認して早めに受講しましょう。
- 内装業者の選定: 内装工事を行う業者を選定します。設備の基準を満たすために必要です。
- 保健所へ事前相談する: 保健所を訪れて事前相談を行います。工事の予定や設備について確認してもらいましょう。
- 営業許可申請: 必要な書類を提出して営業許可を申請します。
おおまかには上記の通りですが、事前に保健所に相談しながら進めていくのがよいと思われます。また、許可の取得ポイントなどもありますので、自分で申請するのは不安と思われる場合にはお気軽にご相談ください。